今日、スーパーに行ったら、母親の好物だった野蕗が売っていました。
野蕗、というのは、いわゆるその辺に生えている蕗で
栽培している蕗のように、背がたかくありません。
50センチくらいで、茎も細いです。
昔、東京に住んでいた時は、栽培した蕗しか売っていなくて
蕗とはそういうものだと思っていました。
けれども茨城県に越して来たら、背の低い蕗が売っているんです。
むしろ茨城では 背の低い蕗 しか売っていない、という状態でした。
(今は栽培した蕗も売っています)
この背の低い蕗は、好みもありますが、栽培した背の高い蕗よりも
野性味のある味で、蕗の好きな母はすごく喜びました。
蕗を煮るときは、いつも母と二人で皮を剥いていました。
今日、スーパーで見かけた野蕗を買ってきて
一人で茹でて、一人で皮を剥きました。
蕗の皮を剥きながら
「ああ、いつも母と向かい合って座って二人で皮を剥いていたな」
と、思い出して、少し泣きました。
母と二人で蕗の皮を剥いていたときは気が付かなかったけれど
あの時が私の、幸せな時間でした。
もう、その幸せは戻ってきません。
でも私は一人で生きていかなければなりません。
皮を剥いた蕗は、油揚げを入れて、薄味で煮ました。
冷めて味が染みたら、仏壇に上げるつもりです。