愛する人との死別から立ち直るために 今考えること

家族と死別して、天涯孤独になった女性が、統合失調症を発症しながら寛解、少しずつ立ち直ろうとする記録

母親の思い出 野蕗(ふき)を煮る

f:id:yume-oi:20160501210525j:plain

 

今日、スーパーに行ったら、母親の好物だった野蕗が売っていました。

 

野蕗、というのは、いわゆるその辺に生えている蕗で

栽培している蕗のように、背がたかくありません。

50センチくらいで、茎も細いです。

 

昔、東京に住んでいた時は、栽培した蕗しか売っていなくて

蕗とはそういうものだと思っていました。

 

けれども茨城県に越して来たら、背の低い蕗が売っているんです。

むしろ茨城では 背の低い蕗 しか売っていない、という状態でした。

(今は栽培した蕗も売っています)

 

この背の低い蕗は、好みもありますが、栽培した背の高い蕗よりも

野性味のある味で、蕗の好きな母はすごく喜びました。

 

蕗を煮るときは、いつも母と二人で皮を剥いていました。

 

今日、スーパーで見かけた野蕗を買ってきて

一人で茹でて、一人で皮を剥きました。

 

蕗の皮を剥きながら

「ああ、いつも母と向かい合って座って二人で皮を剥いていたな」

と、思い出して、少し泣きました。

 

母と二人で蕗の皮を剥いていたときは気が付かなかったけれど

あの時が私の、幸せな時間でした。

 

もう、その幸せは戻ってきません。

 

でも私は一人で生きていかなければなりません。

 

皮を剥いた蕗は、油揚げを入れて、薄味で煮ました。

冷めて味が染みたら、仏壇に上げるつもりです。