4月、5月、陽気が良くなると、タケノコ、フキが出回る。
出始めは高いが、ゴールデンウィークも近くなれば
少しずつ値段が下がってくる。
私はタケノコもフキも、それほど好きではない。
嫌い、というのではないが、特に食べなくても平気だ。
正直、一生タケノコとフキを食べなくても何ともない。
けれども、季節になれば、必ず1度は、タケノコとフキを買う。
これは私のためではない。
亡くなった母の大好物だったからだ。
亡くなった母は、香りの強いものを好んだ。
タケノコ、フキ、セロリ、生姜、青じその葉、セリ、ウド
私は、それらのものを、特別に好まない。
けれども、仏壇にあげたいからタケノコを買って茹でる。
茹でて、油揚げと一緒に煮付けて、仏壇に上げる。
母が死んで8年以上が経つ
母親の魂はまだ、この世に近いところにいるのだろうか? と思う。
私が仏壇にタケノコを上げれば、味わうために
この世に降りて来てくれるのだろうか?
母は菩薩様のような善人だったから、もうこの世の近くいなくて
人間だった時の記憶をなくして、神様のそばにいるのかもしれない。
もう、私のそばには来てくれないのではないか?
と、ふと思う。
母親に甘やかされ、父親に甘やかされ、私は生きてきたけれど
両親に死なれてしまえば、罰のように悲しみと寂しさが残される。
人生なんて、プラスマイナス ゼロなんだなあ、と
ついやいたりしている。