私の住んでいるマンションの下階には
82歳のおばあさんが住んでいる。
おばあさんが73歳の時、おばあさんの旦那さんが死んだ。
おばあさんは。その時、パートで働いていたので
せっせと週に3回、パートに通っていた。
その時、おばあさんと私に、付き合いはなかった。
ある日、4おばあさんは、バートで働くのを止めた。年を取ったからって
おばあさんの旦那さんが死んだあと、2年経って私の母が死んだ。
それから、おばあさんと私は仲良しになった。
毎日、毎日、おばあさんの家で話をした。
毎日、おばあさんの家にお菓子を持って通った。
おばあさんは自分の旦那さんのことを私に話し
私は死んだ母のことをおばあさんに話した。
二人で死んだ家族のことを毎日話していた。
それで、私の心は随分救われた。
おばあさんが良く言っていた。
「先に死んだ人はいいなあって思うのよ」
そう、私だってそう思う。この世に一人だけ残されて
延々と悲しみと戦って、私は8年も生きた。
途中で、統合失調症まで発病したのに
私はまだ生きている。
この間、ペットの文鳥も死んで、いよいよ一人ぼっちになったけど
それでも生きてる自分が、すごいなあって思う。
先に死んだ者が勝ちなら
私は一番負けた者だ。でも死ねないよ。
本当は、指先一本つつかれたら死にそうな気持ちになることもあるけど
今のところ、私はまだ生きている。
私が死ぬときは迎えに来てね、と心の中で母に話しかけるのは毎日。
一番負けて、一番最後まで生き残るのは私。
罰ゲームかもしれないけど、まだ生きていく。